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平野領主寄進額

雀 「おーい、ご本尊正面の額よ、お前立派だね。きっと由緒ある身なん
   だろうなぁ。」

額 「ああ、わかるかい。わしはそんじょそこらの額とは違うんだ。
   嘉永二年(1849)に、殿様がお書きになって寄付されたんだよ。」

雀 「なるほど。金を嵌め込んで額縁も凝っているが、金泥の文字がまた
  いい。おおらかで雄渾、実にいい。」

額 「能筆で名高い八代目のご領主平野長発(ながゆき)公の直筆じゃ。」

雀 「ふうん道理でなぁ。真解脱(しんげだつ)か。なんちゅうことかい」

額 「真のさとりということじゃ。」

雀 「ご本尊の阿弥陀さまにふさわしい言葉やなぁ。住職も喜んだろう。」

額 「いや、それが意外なことに本山がご門主への配慮から、寄付を受ける
  のをすんなり許可しなかったものだから、住職はご門主が来られる時は
  降ろしてもとかなんとか、本山を説得するのに苦心しているんだ。その
  本願寺文書を探し出して撮影して来たそうじゃ」

雀 「まるで秀吉が難癖つけて千利休に腹を切らせた大徳寺の山門やな。」

 

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